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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第10章 裏切り
巡らせながらも、私は恋しさに負けていた。
至極当然、彼を目で追いかけてしまうのだ。
はた、と視線が紡ぎ合う。
けれど八反田さんはにこりともせず、私の色めきを振り払った。
「さあ、もうすぐ時間だ。お客様を迎え入れるぞ」
それで私がどんな顔をするか知っているはずなのに、彼は私の純粋を遠ざけようとする。
代わりに飛び切りの笑顔でお客様に接しろと圧力をかける。
プロフェッショナルならばそのくらいの要求、容易く答えられるのかもしれない。
私も出来るならそうしたい。
そういうアイドルでいたい。
けれど……。
「み、みゆり、大丈夫!?」
はらはらと舞った大粒の露。
でもそれはダイヤや真珠のように淡い想いの彩りではなくて、心に蟠(わだかま)った泥濘のような、不穏を模したざらついた垢でしかなかった。
「やっぱり、まだあの事件が心に引っかかってるのよね?大丈夫!無理しないで、今日はドリンク作りを頑張りましょう?」
くるみちゃんが心の中に潜り込んできて私の手を引いてくれた。
連れ立った先にパントリーというドリンクを仕込む為の場があり私を迎え入れてくれる。
ここからはお客様の座る位置からは遠く話す機会も与えられないけれど、互いに顔を眺めることは出来る。
私のような根暗の引っ込み思案には丁度良い立ち位置と言えるラッキーなポジションだ。
大前さんはここで私とドリンク作業をするという。
仕事に復帰した私の隣に立つことで、私が元気でいることをファンに伝えるつもりなのだろう。
ニュースは、私の話を1週間程伝えた。
以前倒れた時とは比べようもない程、世間に衝撃を与えたようだった。
アイドルとファンの距離が年々近づくにつれ、それに付随するように犯罪も激化していく。
過去に刃傷沙汰となった例や鈍器で殴打された例を参考に、私の事件も日本の深まる闇として取り扱われた。
そりゃあ現役アイドルが強姦被害だなんて、例え未遂でも世間はほっておかないと思う。
人間この手の話、誰しも大好きじゃない。
至極当然、彼を目で追いかけてしまうのだ。
はた、と視線が紡ぎ合う。
けれど八反田さんはにこりともせず、私の色めきを振り払った。
「さあ、もうすぐ時間だ。お客様を迎え入れるぞ」
それで私がどんな顔をするか知っているはずなのに、彼は私の純粋を遠ざけようとする。
代わりに飛び切りの笑顔でお客様に接しろと圧力をかける。
プロフェッショナルならばそのくらいの要求、容易く答えられるのかもしれない。
私も出来るならそうしたい。
そういうアイドルでいたい。
けれど……。
「み、みゆり、大丈夫!?」
はらはらと舞った大粒の露。
でもそれはダイヤや真珠のように淡い想いの彩りではなくて、心に蟠(わだかま)った泥濘のような、不穏を模したざらついた垢でしかなかった。
「やっぱり、まだあの事件が心に引っかかってるのよね?大丈夫!無理しないで、今日はドリンク作りを頑張りましょう?」
くるみちゃんが心の中に潜り込んできて私の手を引いてくれた。
連れ立った先にパントリーというドリンクを仕込む為の場があり私を迎え入れてくれる。
ここからはお客様の座る位置からは遠く話す機会も与えられないけれど、互いに顔を眺めることは出来る。
私のような根暗の引っ込み思案には丁度良い立ち位置と言えるラッキーなポジションだ。
大前さんはここで私とドリンク作業をするという。
仕事に復帰した私の隣に立つことで、私が元気でいることをファンに伝えるつもりなのだろう。
ニュースは、私の話を1週間程伝えた。
以前倒れた時とは比べようもない程、世間に衝撃を与えたようだった。
アイドルとファンの距離が年々近づくにつれ、それに付随するように犯罪も激化していく。
過去に刃傷沙汰となった例や鈍器で殴打された例を参考に、私の事件も日本の深まる闇として取り扱われた。
そりゃあ現役アイドルが強姦被害だなんて、例え未遂でも世間はほっておかないと思う。
人間この手の話、誰しも大好きじゃない。