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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第10章 裏切り
そうだ、これはゴールテープを切った順なのだ。
マスター出来た人から声を録れるご褒美が待っている。

元々、くるみちゃんがメインで歌を歌い踊ることは事務所の決定事項だった。
だから彼女がいればシングル発売までは殆ど成り立つ。
MVについてはサビの5秒程、音に合わせて踊れれば関係ないのだ。
無理なら現状の技術でスローテンポからも撮影してくれる。
それぐらい私にも出来る。
あとはイメージに合わせて座ったりトレンチをリズムよく上げ下げしたり、可愛いポーズを決めたり。
プロの編集がミスを隠してくれる。

「そこ、もうちょっとケーキとかマカロンで埋めたほうがいい。魔法っぽさが足りない。イメージとかセンスとか、ファンはそういうのを重視してるんだ。手を抜かないで欲しい」

その撮影の日はあっという間に来た。
1日だけクラシックホワイトから桜色メルヘンに生まれ変わったdólceは、八反田さんの指示通りヘンゼルとグレーテルのお菓子の家みたくすっごくすっごく可愛くなった。

実際、本物のドーナツやマドレーヌに見立てた美味しそうな飾りや小道具を窓枠や壁の格子に敷き詰めたりして、本当にお菓子やティーカップが踊る魔法使いの住むカフェテリアに変身したのだ。
私達はそこで働く妖精なんだって。

~~♪いらっしゃいませ。
見つけた貴方にステキな魔法。
甘いお菓子にビターな珈琲。
さあ召し上がれ。私の作ったミルクパイ!
タンタタン!~~♪

「るかちゃんすごいね!ダンス完璧だね!」

「あたぼうよ!お陰で1番にソロパート入れて貰ったし!ワンフレーズだけど!」

「それってすごいことだよ!だって絶対その瞬間カメラに映るじゃん!」

「えっへへぇ!ファンのひと増えるかなぁ?」

「うん!るかちゃんが微笑めば1発だよ!」

そんな私は見事にまだ踊れてないけどねっ!
結局サビの部分しか歌も参加できてないなんて、恥ずかしくてるかちゃんには言えないよ!
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