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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第10章 裏切り
「お、おいバカッ……こんなとこで何言い出す!」
「る、るかちゃん、ほんとに!なに言って……」
批難するもるかちゃんはめげない。
「どすけべ八反田。お前の気持ちは私にはバレバレなんだ!隠しても無駄だ!」
「……だから……それは一体何の話だ」
「私はお前が本当は何者なのかも知ってる!いいか?みゆりのこと好きならみゆりのソロパート作ってプロモに入れてあげなさいよ!そんくらいしろバカ八反田!」
「るかちゃん何でそんなこと!八反田さんに迷惑だよ!それにそんな我が儘通したら……」
……また皆に贔屓だって囁かれちゃう。
ようやくデビューの話になってそれも落ちついてきたところなのに。
「お前はとんだ曲者だな流川。でも風間はどうやらそれを望んでないようだぞ。友達思いなのはいいが、いいから流川、お前もおとなしく録られに行ってこい」
「ぎゃ!」
ステージ上に背を押し出されたるかちゃんは、バタバタと階段を駆け登り、スタッフさんに笑われながら中心に参加していった。
「ち、ちぃす!流川るかです!よろしくです!」
いいなぁ。
るかちゃんはスタッフさんに好かれやすいから、すぐに顔を覚えて貰えて。
私は、絶対、あの中に入れては貰えない気がする。
「羨ましいか?」
私はそんなにステージを羨ましげに見つめていたかな?
ぼやっと眺めていると、八反田さんに久しぶりに話しかけられた。
「はい」
隠すつもりもなく、正直に答えた。
「そうか」
振り向かない声が聞こえる。
「お前、歌は上手かったよな?」
歌は……だって。
うん、確かに歌、は、得意。
上手いかは別として。
「明日、歌録りして来い。お前が手こずってるダンス部分に、丁度ソロパートがある。誰にしようか迷っていた」
彼は静々、今日だけ端へと排除させられたカフェテーブルの一つに腰掛けながら私に仕事を与えてくれた。
それも、私にとって極上級の。
私は八反田さんを見つめた。
電話が鳴って、彼は繋いだ。
切るのを待つ。
彼はスーツの内側から手帳を取り出して何かしらをメモした。
るかちゃんはさっき言った。
お前が何者なのかも知ってるって。
あの鈍いるかちゃんでも、もう確信できること。
あなたは……もしかして……。