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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第10章 裏切り
私はうっとりと彼女を眺めてしまっていた。
「ふみすけさんの言った通りね」
彼女は丁寧に濡れ髪を拭きながら言う。
「接触が悪くなってるんだろう。早く修理に出したほうがいい」
2人はあんぐりする私を差し置いて勝手に会話をすすめていた。
言われなくとも2本目の缶ビールを八反田さんに差し出した彼女は、残りを備えてある冷蔵庫にしまい込んだ。
その時初めて私と目を合わせた。
「ねぇ、ふみすけさん?どうしてこの子をここに呼んだの?この子、例の女の子でしょ?」
そのついでに発見したおつまみのチータラを開封して中から一本取り出した彼女。
「話があるって言われたからだ」
「そうやって女の子なら誰にでも優しくするの、やめたほうがいいと思うの。みんな勘違いしちゃうもの。ワタシだってそうよ?」
彼女はそう言ってチータラの上下、鱈の身の部分だけを上から扱いて丁寧に剥き、あーんと舌で迎えに行った。
う、エロい……。
これが男の本能を刺激する、セクシー界元女王の魅力……。
「それとも、今日はそのコを抱いて寝るの?」
「まさか……。話をややこしくさせるようなことを言うなよ……面倒なんだから」
八反田さんは2本目の缶ビールの口を開けた。
カシュっと鳴って彼の顔に噴き掛かった。
それを彼女が……。
「やめろって……」
舌で舐めとる。
「あら。説明がまだなの?」
「まだも何も、みゆりには何も言うつもりは……」
「みゆりなんて下の名前で呼ぶの、よしてあげたら?それともわざと?」
「……酔ってるだけだ」
「嘘つき。アナタがこれっぽっちで酔うはずないわ。幾らペースが早くても、でしょ?」
「飲んできてるんだよ、もう」
「そのわりには今日は普通ね。この前と違って」
「……覚えてない」
「あらヒドイ。深夜にワタシを呼び出して、ずっと抱きしめてくれてたのに?」
何コレ……。
頭がグラグラする。
視線があるわけでもないのに、視界が揺れて収まらない。
気持ち悪い……。
なにそれ……。
抱きしめる?
……そんなの……。
「それは、覚えてるよ……」
「そうよね。じゃなきゃ困るわ。あの日、初めてあなたから誘われて、ワタシ、嬉しかったんだから」
気が付くと私は床に崩れ落ちていた。
混乱して目の前が青く照りつけて何重にもぶれてしまうから。