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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第10章 裏切り
「みゆり……!?おい、大丈夫か?」
「イヤッ……さ、触らないで……ください……」
「……つッ……!」
側に寄ってきた八反田さんの手を自ら払った。
缶ビールが転がる。
彼を拒否した。
これで2度目になる。
「ごめんなさい……つい……腕を……」
八反田さんの腕の包帯は無くなっていた。
かわりにそこに治りかけた柔肌が痛々しそうにピンクを帯びていた。
彼はそれを片手でさすりながら言う。
「これで分かっただろ?……分かったら……もう二度と俺に近付くんじゃない」
「どう、して……?八反田さんは、お嫁さんとつよなりくんがいるから、私に忘れろって言ったんじゃないんですか?なのに……こんな……」
「それは……あの時はそう言ったかもしれないが、あれからすぐに状況が変わって……俺もまだ全てを把握してる訳じゃない……」
「なんの、話、ですか?八反田さんがなほこさんを裏切ったってこと?そんな……の、私、聞きたくないです!それも私じゃない人に……私じゃない人と愛し合った話なんて!」
「……お前、黒咲から何も聞いてないのか!?」
「どうしていま黒咲くんの話になるの……?」
八反田さんは一瞬はっとした顔をして、そして唇を噛んだ。
「そうか……黒咲のヤツ……お前にはまだ黙ったままなのか……」
「待って下さい……よくわからないです……一体どういう……」
「俺だって訳がわからないんだよっ……!もうやめてくれ!!」
ほとんど叫ぶように声を張り上げた八反田さんの動揺を初めてみた。
取り乱して、汗をかき、頭を掻きむしる。
いつもクールで冷静な八反田さんが……。
今、触れられたくないと思ったのに。
一瞬でそれが吹き飛んだ。
彼が今にも。
泣き出しそうな顔をしたから。
「ふみすけさん……泣かないで……」
キスを、したかった。
彼に何があったのかを知りたい……。
でも結局それは、叶わなかった。
「分からないならそれでいいじゃない」
私より先に、もなかさんがそうした。
八反田さんにキスをした。
振り払って欲しかった。
けれど。
彼は、彼女を受け入れた。
「私は別に、何があったかなんて聞こうと思わないわ。私はずっと、ふみすけさんが好きだったんだから……あなたよりもずっと前から。ようやくそれが叶ったの。もうそれ以外どうでもいいの……」