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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第11章 エンジェル
これだからイケメンは好きになれない……。
人生イージーモードで傲慢で勝手気ままで……。

だってだって、突然こんなことってある……!?

小さなサラサラ黒髪の男の子。
彼は自分の顔と同じ大きさくらいあるパトカーのおもちゃをぶぅーんと床に走らせて、はしゃぎ回っていた。
その度にウーウー音を出して光るパトランプ。

「はんにんをみつけたぞ!おいかけろー!」

結果。
短い廊下を駆け抜けていく彼を追いかけるのはパトカーではなく私だった。
しばらく行ったり来たりを見守っていると、彼はぱっと思い付いたように私を見上げ、

「おねぇちゃんにはしょーぼーしゃかしたげる」

眩い笑顔を綻ばせた。
子供なら誰しも憧れる4輪真紅のそれは、ハシゴとポンプが本物さながらオプションされており、その二つは両方稼働する。
ハシゴは伸び縮みするし、なんとポンプからは水鉄砲が出る。
だから頼まれずともやることは一つ。
彼の顔にぴゅぴゅっとイタズラしてみる。

「ちゅべたいっ!んもー!なにするの!」

うふふ、怒られた。
ていうかそのしかめっ面、パパにそっくり。
……うーん、かわいい……。

「やっぱり、しょーぼーしゃは、ぼくの!ぱとかーが、おねぇちゃんの!」

「うん、いいよ」

ちび八反田さんに言われたんじゃ断れない。
思わず相手をしてしまう。

「じゃあ、犯人を捕まえるわよ!えい!」

「うわーんぼくなにもわるいことしてないよ!?」

「家出した悪い子はだぁれ?」

「それはパパとママがいけないんだもん!」

「どうして?」

「どうしても!うぇーん!はなせぇー!」

「きゃあ!」

ポンプでぴゅぴゅぴゅっと反撃された。
顔にかけられ思わず腕を離してしまう。

「わーい!おかえしだもん!」

「んもー!悪い子まてー!」

「キャァー!!!」

ああん、この子、天使っ! 天使ですね!
八反田さんが息子が可愛いくて可愛いくて仕方ないと楽しそうに語っていたけど、これは、黙って肯くしかない。
だって、文句なく、エンジェル!

「ほら捕まえた!」

「えへへへ!つかまった!」

きゃっきゃっとはしゃぐ小さな小さな二三助さん。
愛くるし過ぎて私の心がはち切れそう。
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