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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第12章 みほこお姉ちゃんと王子様
ここから私がまだ幼かった頃の話しをしようと思う。

私も今しがた思い出したばかりの思い出を整理しておきたかった。

全てのヒミツを思い出した頃、八反田さんと私の関係も、少し変わってくるといいけれど……。

切に願い、私は心に浮き出てくる甘く切ない記憶に呼び掛けた。











以前にも少し話していたと思うが、私は幼い頃電車内で痴漢被害に合っていた。
それで王子様に助けられたあの日を境に、もう一度彼に逢いたいと駄々を捏ねていたのだ。
ちょうど10年前……8歳の時のこと。
お姉ちゃんは、逢いたくないと言っていた。
今ならその気持ちがわかるが……まだ小さかった空気の読めない私を大目に見て欲しい。

「お姉ちゃん!王子様に逢いたいよ……!逢いたい逢いたい!」

「うーん……私はあんまり会いたくないわ」

「わたしは逢いたいのー!」

「そっかぁ……。それなら仕方ない。実は今度食事に誘われているのよ?みゆりちゃん行きたい?」

「うんっ!」

お姉ちゃんは何処までも私に甘かった。
おそらく、会いたくないと言っていたのは本心だと想う。

「こ、こんにちは!」

ある日、私とみほこお姉ちゃんは、3人初めて逢った駅で、王子様と待ち合わせをした。
時間通り辿り着くと、彼は今と違って落ち着きなさそうに腕時計を何度も確認し、そわそわきょろきょろしていた。

「こんにちは。あら、今日はスーツなんですね」

「こ、この前は、病院帰りで……みすぼらしくて申し訳ありませんでした……」

「いいえ。そんなこと。ラフな格好もお似合いでしたよ」

王子様は私を見なかった。
ずっと、お姉ちゃんを見つめていたのだ。

「わたしの王子様!こんにちは!」

「あ、ああ、こんにちは!みゆりちゃん。今日はワンピースなんだね。可愛いよ」

「えへへ。1番お気に入りの青いストライプのリボンなの!お姉ちゃんとお揃いなの!」

「うん。本当によく似合ってるよ。ええ……とても……お似合いです」

王子様はやっぱり私を見てくれなかった。
お姉ちゃんは困ったようにはにかんでいた。

なんだかずるい。
けれど、

「さぁ、どこか行きたいところはありますか?」

王子様に抱っこされた途端に、ちぐはぐな感情は嬉しさに塗りつぶされた。
お姉ちゃんと王子様とわたし、3人で出掛ける。
それだけで嬉しかったから。
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