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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第12章 みほこお姉ちゃんと王子様
「お帰りなさい!また遊びに来てね!」

スタッフさんに出迎えられ、わたし達は観覧車を降りた。

王子様はわたしを待たずにずんずん先を歩いていく。

「ごめんなさい!」

慌てて謝ったが、

「もう二度とあんなことをしたらだめだ」

強い口調で叱られた。
無慈悲に私を置いて行く背中を見て、涙がじわじわとやってくる。
わたしはもう二度と自分から彼を求めないことを誓った。

「もうしません!みほこお姉ちゃんにも言わないから許して!」

手の甲で涙のついた頬を拭きながら、彼の手を必死で繋ぎ止めた。
それからようやく王子様は私の頭にそっと掌をくれた。

「うん、許してあげるから……。でも……内緒には出来ないんだよ。僕はね、あの人に隠し事をしないと決めたんだ。さっき、あの時、心に誓ったんだ」

王子様はパークのエントランス付近で待つみほこお姉ちゃんを見付けると、

「お待たせしました」

彼女の持つお土産の紙袋を奪い、手に持った。
みほこお姉ちゃんは王子様を振り返って笑った。

「あら2人ともお帰りなさい!早かったのね」

「ええ。それにしてもたくさん買ったんですね」

「重いから大丈夫よ」

遠慮するお姉ちゃんに王子様は、

「でしたら尚更です」

ニコニコとして荷物を手放そうとしない。

「ならお願いしますね」

「もちろんです。自宅までお運びしますよ」

「それは悪いわ!もうこんなに遅いのに!」

「ですから尚更なんです。送らせて下さい」

お姉ちゃんはその顔を見て、何処と無く切なげに笑った気がした。

それから私達は来たときと同様、電車を乗り継いで家路についた。
今日はなんだか疲れちゃった……。
道中ウトウトしてしまったわたしは、王子様がお姉ちゃんに耳打ちした遣り取りを狸寝入りでチラチラ盗み見していた。
さっきの観覧車での、恥ずかしいわたしのヒミツ。
打ち明けられたお姉ちゃんは驚いて王子様を見ていた。
その彼は、

「すみません……」

頭を下げ続けている。
だけどその時みほこお姉ちゃんが言ったのだ。

「そう……みゆりちゃんが羨ましいわ……」

そう呟いたのをわたしは聞き逃さなかった。
この時王子様はどんな顔をしたのだろう。
わたしを見つめたお姉ちゃんにバレないように目を閉じていたわたしには、それが判らなかった。
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