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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第12章 みほこお姉ちゃんと王子様
「……そうですか……なら、上がって行って下さい……」
それで素早く玄関に踵を返し、先にお家に入ってしまったお姉ちゃん。
「わーい!王子様とお泊まり!」
単純明快な8歳児だったわたしは、嬉しくて歓声をあげた。
いろいろと思い出すたび今は仕方ないと子供のわたしを許してあげる他ないけれど、それはパジャマに着替えさせられた途端、再び眠気に変わってしまった。
「みゆりちゃん、王子様と歯磨きをしてきて?お姉ちゃん、シャワーを浴びてからベッドに向かうから」
「うん」
そこで王子様がお泊まりセットを用意していないことに気付きはっと慌てたお姉ちゃん。
照れ臭そうにこう提案していた。
「あの……歯ブラシは……私のを使って下さい……。私、あの人のを使うから……」
ぎこちなく玄関を上がってからロボットのように手足をギクシャク動かしていた王子様は、声をひっくり返した。
「え、ええっ!?いいんですか!?」
「あら……もしかしてあの人のを使いたいの?」
お姉ちゃんはくすくすと笑う。
「覗いちゃだめよ」
それからすぐ洗面所の隣に据え付けられた浴室に閉じこもってしまった。
わたしと王子様は洗面台の鏡に向かって歯磨きを始めた。
シャコシャコとブラシが唸る中、お姉ちゃんがシャワーを浴びる繊細な音が重なる。
この独特な空気を言葉にする力を残念ながらわたしは持ち合わせていない。
わたしは黙って鏡に映る王子様を見た。
とても丁寧に歯を磨いている。
「……はぁ……はぁ……ふぅ……はぁ……」
鼻息が荒くなっている。
ちらっと横目に見てみる。
スーツのズボンが観覧車の中で見たときと同じ……いやそれ以上に大きく膨らんでいた。
だから私も緊張してしまった。
みほこお姉ちゃんと王子様は……。
――これからセックスするんだ……って。
「みゆりちゃんベッドに行こう。眠るまで傍に居てあげるから」
「うん」
それでわたしが眠ったら、王子様はみほこお姉ちゃんを迎えに行くんでしょう?
気が付いていたけれどわたしはそれを尋ねなかった。