この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第4章 ようこそアイドルカフェdólceへ‼︎

ふんわり気分の中で。
私は、シュークリームやらマカロンやらシフォンケーキやらたくさんのデザートに囲まれていた。
甘い匂いが心をくすぐる。
赤や緑のフルーツもたくさんで、甘酸っぱい感じ。
そう、ここはdólceの国なのね。
本当にあったんだわ、デザートの天国が。
ずぅっとここに居たいなぁ……。
そしたら、幸せ。
大嫌いなお父さんもお兄ちゃんもいない。
私の苦手な視線にも晒されないで済むの。
私以外、誰もいないから……。
でもな。
こんなにたくさんあるのなら、るかちゃんにも分けてあげたい。
ううん、一緒にこの国に暮らしたい。
そうよ。
それなら八反田さんもこの国に来て欲しい。
甘いものは好きですか?
私はね、チョコが好き。
ねぇ、るかちゃん、八反田さん。
どうして側に居てくれないの?
どうして?
あれ?どうして私、ここにいるの?
dólceの国?
違うよ、dólceはこんなところじゃない。
dólceは……。
るかちゃんと、八反田さんのいるdólceは……。
――こんなに甘い世界じゃないもん!
気がつくと、そこはもうdólceじゃなかった。
私の腕からはチューブが伸びていて、周りは薄緑のカーテンで仕切られていた。
ああ、またやった……。
すぐに全てを察した。
また倒れた。
隠すつもりもない。
一過性意識消失発作。
いわゆる気絶ってやつだ。
原因はよくわからないけど、異様に緊張すると、こうなってしまう。
特に人の視線がダメっていうのは、私本人の勝手な判断。
だってお医者さんはわからないって言うんだもん。
あーあ。研修頑張ったのに。
私はふてくされて血管に刺さった針を抜こうとした。
「みゆり!何やってんの⁉︎」
また側にいてくれたんだ……。
マネージャーさんが私が起きたことに気付き肩を掴んだ。
「まだ安静にしてなさい!」
「やだよ!だって、こんなの無くても、もう大丈夫なんだもん!いつもそうじゃない!やってもやらなくても一緒だもん!離して!dólceに戻る!dólceに行くの‼︎」
マネージャーさんの腕時計を確認して、私は青ざめた。
「これ、まだ午前中だよね?」
間も無く10時を示す、2つの針。
「い、急がないと……」

