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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第12章 みほこお姉ちゃんと王子様
籠を逆さにひっくり返した王子様は、他のも一気に中に入れてくれた。
色とりどり、アクセサリーみたいに繊細な形をしたお姉ちゃんの下着達。
王子様のほっぺがまた赤くなっていた。
スイッチを入れると、それから王子様は洗面台の鏡を覗き込んだ。
色付いた頬に気づき、バチンと片手で叩く。
加減を忘れてしまったのが痛かったのかな……。
舌先で頬の内側を撫で始めた。
その時にずれ落ちていたパジャマから覗く赤い証を見つけたらしい。
驚いたように右手で触れ――。
彼は暫くの間、何か思い耽るように己と相対していた。

「ねぇ、みゆりちゃん。僕は……昨日と比べて何か変わったように見えるかな?」

私が首を傾げると、鏡の中の王子様は私をじっと見つめていた。

わたしはうーんと考えるふりをしてから、こう答えた。

「本物の王子様に近づいた気がする」

それで王子様は驚いたように鏡の中から切れ長の眼を逸らして私を振り返った。

「そ、そう!?ほんとそう見えるかい!?」

「うん」

照れ臭そうな笑顔に子供ながら胸が高鳴った。
なんてかわいいひとなんだろう。
その後も鏡の中、延々と幸せを噛み締めている彼が、とっても愛しく想えた。


その頃にはもうダイニングからは良い匂いが漂っていた。
テーブルには、トーストと目玉焼きとチキンスープ、それからその出汁を取られた鶏肉のサラダが3人分並べてあった。

「ごめんね。いま余り物しかなくて……」

今日の朝ごはんは洋食らしい。
和食の得意なお姉ちゃんなのに珍しいと思った。

「本当は和食が良かったわよね……」

声を小さくするお姉ちゃんに王子様は返事をしなかった。
出された食事に文句があった訳じゃない。
テーブル上の豪華絢爛に心を奪われていたのだ。
昨晩と同じように、王子様はストンとチェアーに滑り落ちた。

「こんな朝ごはんなんて、学生ぶりです!」

「えぇ!?そんな、これくらいで大袈裟ね!」

お姉ちゃんが笑いながらコップに豆乳を注いだ。
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