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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第12章 みほこお姉ちゃんと王子様
「二四也のことは愛してる……今も……。だけどごめんなさい。私、あなたのこと今まで一度も愛したことなかった……」
そんな……。
今まで……。
一度も?
酷いセリフに耳を疑いたくなる。
残忍も残忍だ。
この人は八反田さんを傷付けすぎる。
きっと八つ当たりすることに慣れてしまっているのだ。
彼の伴侶だから許されるのだ。
八反田さんの愛したお嫁さんだから。
「それも知ってた」
なのに包み込むように優しく笑った八反田さんを、私はやっぱり好きだと思った。
私が八反田さんのお嫁さんになれたら。
この人を毎日にっこりさせてあげれるのに。
絶対に傷付けたりしないのに。
約束するのに……。
だって私にはわかるよ。
八反田さんも本当は今、泣いてしまいたいと思ってること。
「それでも俺はずっと、なほこの傍に居てやりたいと思ってたんだよ」
悲しい目の色を帯びているのをひた隠す八反田さんは、ずっと口元を震わせていた。
「でも、俺はもう必要ないんだよな?」
「……ごめんなさい……ごめんなさい……」
「謝らなくていいから」
「ごめんなさい!!」
「わかった」
最後まで強く謝り続けたみほこさんは、テーブルにしわくちゃの紙を1枚置いた。
「ずっと考えてた……。離れた方がいいって……」
「なほこ……」
「ごめんなさい。それ以上優しくしないで!もう、嫌なのよ……!私はお姉ちゃんの代わりにはなれない!」
それでなほこさんは旦那様の手を払いのけ、泣きながら玄関を飛び出していった。
「あ……」
咄嗟に呼び止めようとした私を八反田さんは制止する。
「行くところがあるんだろ。二四也みたく子供じゃないんだ。追い掛けなくていい」
「でも……」
「俺の話を聞いてくれないか?」
私の手首を掴む大きく華奢な手。
それが酷く辛そうに震えていた。