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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第13章 運命の赤い糸
「ただいま!おい、みなと!帰るなら帰ると先に言え……!突然だと、飛行機のチケットがだな……」
私が八反田さんと再会したのは運命なんかじゃない……。
「ど、どうして……!?」
全部……。
「みゆり……お前、何して……」
あの人の……。
「す、すみません!すぐに帰ります!俺、帰りますから!」
「……お前……ここでなにして……!」
「パパ!やだ!やだよ!」
もう頭の中がグチャグチャだ。
なんでよりにもよってお父さんがこんな時に帰ってきてしまうの!?
ううん、そんなこと考えなくたってわかる。
――……一次審査合格だって。
おめでとう。
かわいい
俺の
みゆり……――
「やめて!やめてよぉ!」
これはお兄ちゃんの書き上げた拙いストーリーなんだ。
「クソッたれが!貴様みほこだけじゃ飽きたらず娘にまで手を出してんのかっ!」
ティーカップの中身を八反田さんに向かってぶちまけた父は、今にも八反田さんに殴りかかろうとしていた。
胸ぐらを掴まれた八反田さんは歯を食いしばったまま逃げも隠れもしなかった。
あの日と同じだ。
あの時の光景と。
いやだ!
八反田さんが……!
思ったとき。
全ての流れを止めたのは。
「パパをいじめないで!」
騒ぎに目を覚ました天の使いだった。
「なっ、こ、子供……!?」
「つよなりくん!」
私が悲鳴にも似た叫びで呼んだとき、父は必死で両手を広げる幼い少年を前に拳を振り上げていた。
「パパをいじめないでぇ!」
泣き虫なはずなのに。
それでも臆せずぐっと涙を堪える様はどこかの誰かに瓜二つで。
ああもしかして……。
でもまさか……。
そんなこと……。
「そうか……そうか君が……」
父は降臨した天使に体中をわなつかせたかと思うと、遂にへたりと両膝をついた。
そして宝物でも触るように慎重にゆっくり小さな肩を抱きしめる。
「みほこ……」
それから、小さく小さくその名前を口にしたのだった。