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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第13章 運命の赤い糸
……。
気まずいよ。
バージョンスリー!
私とお父さんは元々不仲だし。
八反田さんとお父さんの間も色々あるようだし。
私も私で八反田さんとワケありな訳で。
しばらく無言のまま三人テーブルに向かい合って座っていた。
緊張で今にも吐きそう。
だけどそんな中。
「ウーウーウー!きんきゅーしゃろーがつうかします!ぶぅーん!」
私達の足元に潜り込みパトカーを走らせる二四也くんだけが無邪気だった。
……あぁなごむ……。
「失敬……」
だけど八反田さんが堪えかねてテーブルの下に向かって怒鳴った。
「こら、つよ!今パパ達大事なお話してるから大人しくしてなさい」
「えー!ぼくもきんきゅーだからだめだよ!はんにんつかまえるんだから!」
「なら犯人早く捕まえられそうか?」
「んーん、すごくにげるのはやいの。かめんソルジャーがこないとむり!」
「え……」
それで八反田さんは一旦顔を上げて私達親子を見回した。
それから顔を赤らめて小声で息子に囁いた。
「いや、今パパちょっと変身できないから……」
「えー……」
これには私達も拍子抜けだ。
シリアスはどこいったの?
でもこのほのぼのした感じが堪らない。
それに八反田さんお家じゃ二四也くんとそんな風に遊んでいるんだ。
カワイイ親子……。
ニヤついている私を横目に父が楽しそうに口を挟んだ。
「二四也くんか。無邪気なコだねぇ。よしよし、おじさんのところへ来なさい」
見たことのない優しい表情。
お父さんてこんな人だっけ?
二四也くんをテーブルの下から抱き上げる父を見て私は内心驚いていた。
「おじさんだれー?」
「さあ?誰だろうね?」
「もうパパをいじめないでね」
「いじめないよ。もう済んだことだからね」
「ん~?」
二四也くんが追いつかない頭を必至にひねって考えている。
そして八反田さんにその答えを求めてじっと見つめた。
「パパが悪いことをしたんだ。おじさんは許してくれたんだよ。つよのお陰だ」
二四也くんは何かを理解したのかどうなのか。
黙って持っていたパトカーをテーブルの上に置き、そのまま大人しくなってしまった。