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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第13章 運命の赤い糸
「それにしても君が……。そうかそうか。もうこんなに大きくなったのか」
「僕に似てしまったのか、多少虚弱でアレルギー体質ではありますが……。とても活発に育ってくれてますよ」
「まだ何も分からないのだろう?」
「来たるべき日が来たら、伝えようと思ってます」
「そうか……。で、キミは肝心のみほこが今どこにいるか知っているのか?」
「行きたがっていた海外で暮らしているとか。隠れて起業して成功しているとか。はたまたひっそり田舎暮らしをしているとか。根無し草の小説家になったとか。色々噂話は耳にします。あの人のことだからどれも納得のいくお話ばかりなのですが」
「はは、間違いないな」
お父さんは八反田さんと笑っていた。
こんな上機嫌なお父さんを見るのはいつぶりだろう。
「そういえばみゆり。みなとから連絡があったんだが、あれは家にいないのか?」
「お兄ちゃん?い、いないよ」
「全く……勝手に人を呼びつけておいて……」
父が今ここに居るのはお兄ちゃんが呼んだからなのだ。
それは間違いない。
因縁のある八反田さんと鉢合わせさせたかったからなのだろう。
あの人が望むのはいつも破滅と絶望。
だってきっとその為に。
今日の日の為に私をアイドルに祭り上げた。
八反田さんの元にやって父を困らせたかった。
私の記憶を弄びたかった。
だからきっとこの先も……。
――俺の可愛い、極上のエロい妹……――
「こわい!嫌だ!」
お兄ちゃんはお母さんの面影を追っているだけだ!
お兄ちゃんの手の中になんて居たくない!
「お、おい?みゆり、また発作か!?」
おろおろするお父さんを尻目に、私は八反田さんがずっとテーブルに置きっぱなしている紙切れを見つめた。
あれに正式なサインをしたら八反田さんは私と付き合ってくれる?
その彼は今、私を心配そうに見つめている。
でも目の前にお父さんがいるからなのだろう。
いつもみたく触れてきてはくれなかった。
「風間さん、無理はしないほうがいい。君は小さい頃から強く出来ていないのだから」
優しい言葉をくれるこの人に守ってもらえたらいいのに。
あんな風に優しく、なほこさんに触れたような手で、眼差しで、安心をくれたらいいのに。
傍に居られたらいいのに。
でもだから私は。
本当は。
私の本当の夢は……。
「私、私は……」