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第4章 ようこそアイドルカフェdólceへ‼︎

「そして、ここからは私個人の意見ですが」

それから八反田さんは私の気持ちを見抜いたように台詞を回した。

「１度始めたことを、途中で投げ出す人間にはならないでください。是非、逆境を乗り越える力を、あなた方には身に付けてほしい」

そして結びに、八反田さんはるかちゃんにも視線を投げかけた。

「ですから、流川さん。あなたにはまず目上に対する口の利き方というものを、覚えて頂きます。先程、城田を呼びました。今後は彼のスケジュールの元マナー教室へと通って下さい」

「げ！」

るかちゃんは潤ませていた目を一気に引きつらせた。
綺麗な横顔が台無しになる。
そんなことを気にも留めず、八反田さんはまた書類に目を落とした。
そうしてタイミングを見計らったチャイムが来客を知らせて鳴いた。

「あ、城田さんこんにちは」

玄関扉を開けると、萌え系アニメキャラのハンカチで汗を拭いている男の人が現れた。

「あ、あ、あ、み、みゆりちゃん、こんにちは……」

この口ごもった男の人は、るかちゃんのマネージャー、城田さんだ。
太っちょで普段は頼りないけど、すごく気のいい優しい人。
私は初めて会った時、まんまるな感じが可愛くてくまのぬいぐるみみたいだねってるかちゃんに言ったんだけど、

「みゆりは目が腐ってる」

って言い返された。
うーん、なかなかるかちゃんとは男性の好みが合わないね。
でも城田さんがるかちゃんの担当になる前のタレントさんは、今は大物女優さんへと成長したんだとか。
それで業界では敏腕マネージャーで名が通っているみたいだけれど、そうは見えないんだよね。

「しろぶた！なんで来んのよ！」

「そそそそんなこと言われても、八反田さんに言われたんじゃ、こと断れないよぉ」

「キモいのよでぶー！」

「る、るかちゃんてば……」

でも、るかちゃんの城田さんへの扱いはいつもこんなんだ。
めげない城田さんがスゴイと思う。
大概、るかちゃんのこの性格に根を上げる男の人の方が多いから。