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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第4章 ようこそアイドルカフェdólceへ‼︎

「す、すみませんでした‼︎」

だって彼は自分の髪の毛を左手でグシャッと掴んだかと思うと、絶望の淵に立たされたみたいな様をして立ち上がり、そう言って深く頭を下げたのだ。
向き直ったときはもう、これ以上にないひどく悲しい表情をしてた。

「ち、違うんです‼︎八反田さん‼︎これは私がそのっ……‼︎悪戯しちゃったから……‼︎」

「いえ、全て私の責任です!!本当にすみません‼︎飛んだ勘違いをっ!!なんという粗相をっ!!大変申し訳ないです‼︎そう、本当に、大変申し訳ありませんでした‼︎」

視線を伏せたままずっと頭を垂れ続ける八反田さんを見て、ついその腕を掴んでしまった。
すると八反田さんは驚いたように私を振り払った。

「は、離して下さい……!それ以上、私に近付かないように!私はこれで帰ります!dólceに戻らなくてはっ!」

八反田さんは自分の荷物をまとめると、逃げるように玄関に向かった。
追い縋って抱き留めてもきっと今のこの人には通用しない。
少女漫画のように現実はうまくいくはずないんだ。
そう考えたとき、

「お邪魔しました!」

結局、八反田さんは私と視線を合わせることなく出て行ってしまった。
虚しくも儚い車のエンジン音だけが私の耳に残り、そして遠ざかっていった。
なんてことを仕出かしてしまったんだろう。
そう気付いたのは一人ぽつんと佇む自宅に、静寂だけが寄り添ってからだった……。







その後、私はマネージャーの早坂さんのお迎えでdolceに向かった。
ようやく私の初のお仕事が始まったのだ。
るかちゃんもマナー教室から戻り、一緒にシフトに入った。
やっぱりるかちゃんがいると安心する。
本当はステージに立って昨日のお詫びをするべきだったのだろうけれど、るかちゃんが無理するなって言ってくれた。
だから私は考えて、るかちゃんと私の名前がついたパンケーキカレーを注文してくれたお客様にだけお給仕に行って、手書きのメモを渡した。
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