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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第5章 原点
ともかく。
八反田さんは私の幼少の記憶に鑑みても、その面影から私の理想の男性に極近しいのだ。
本人も自虐する通り、決して容姿だけでは好かれるはずもないかもしれないけれど、心の中はどんな人より素敵。
頼り甲斐があって筋が通っていてまじめな人。
私はそんな八反田さんが好きでたまらない。
今ではその外見も全てが。

「うぅ……今日もしたくなってきた……」

ぶくぶくさせていた呼吸も続かなくなって、土の中から這い出てきたばかりの蛙みたく大きく息を吸いこんだ。
発熱したカラダを抑えつけてみたけどダメだった。
お風呂の中までも八反田さんなんて見つめるんじゃなかったな。
でもこれは子供の頃からの癖だ。
当時はくまのぬいぐるみばかりと一日中一緒に居たっけ。
片時も離れたくない。
その感覚が抜けない。
それが本物の八反田さんにくっつくことで本来は満たされるのだろうけれど。
それが出来ないから、代わりにこんなにも私は欲情してしまうのかもしれない。

「ハァ……」

当然のようにとふとももを開いてしまう。
それから先は私にとって予定調和。
そっとそこに触れてみる。
すると愛液が紅茶に差し込んだ蜂蜜みたいにとろとろと指に絡み付き、やがて湯に溶けて混じっていった。
ベッドの中でするときとは違う、ゆったりとした心地よさ。
今日は激しい妄想より優しさを感じたい気分みたい。
自分のカラダからのリクエストに応える為、私は左手でスマホの中の八反田さんを顔に寄せた。
こうすれば幾分かは近付けた気になれる。

「八反田さん……好きです……大好き……」

目を見つめてありったけの想いをぶつける。
やっぱり返事をくれることはないけれど、これから先どんな風にも妄想できちゃうのが、おなにーの醍醐味ってやつなのだ。

(風間さん……俺も、風間さんのことが……)

絶対に耳にするはずのない、台詞。
普段考えれば悲しいだけだけれど、今は違う。
その気になって、カラダがとくんと刺激されていく。
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