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恋するアイドル❤︎〜内緒の発情期〜
第5章 原点
(好きです……)

言われてキスを求められる。
八反田さんとの理想の口吻は、まず、私の頬に片手を添えられ見つめられること。
私の気持ちを気遣う仕草にグッと心が惹かれるから。
縛り付けるような強固な意志を示す八反田さんのあの双眸に私が目を逸らせないでいると、そのタイミングでゆっくり添えられる唇。
触れるようなのがイイ……。
お互い目を閉じてそこから深い体温を感じるの。
そして……。
自然に離れ至近距離でまた見つめ合い、目線でのやりとりを交わす。
私を欲しがる八反田さんの甘い顔色を見てみたいから。
あれ。想像したら、また濡れてきちゃった。
右手が弧を描いちゃう。
それから何度も短く唇に吸い付かれ、角度を変えられたら――そういうの、フレンチキスって言うんだっけ――それを交わしているうちに、お互いの手がカラダを求め徐々に動きはじめてしまうの。
きっとそこまでしたら、どんどん私の心は歯止めが効かなくなる。
だって今の想像だけでこんなにも蜜がとろとろなんだから……。

「八反田さん……っ」

ほら、やっぱり欲しくなっちゃった。
熟した果実が八反田さんを求めている。
いつも通り愛液に満ち満ちたらクリに触れる。
そうなると、敏感なそこはすぐに喜んで新たな妄想の続きを与えてくれるの。

(……みゆり……好きだよ……好きだ……)

影のない八反田さんが私を強く抱きしめてくれた。
その透明な温もりを感じた矢先だった。
無機質な電子音を繰り返すと共に、やらしいおもちゃの如くスマホが震えた。
画面の表示は非通知。
通話するかYESかNOの選択肢が突き付けられる。 
もちろん私の答えは決まっている。
そして期待に心が弾む。
予感が確信に変わった。

「…………もしもし」

「…………よぉ。昨日ぶりだね」

恋焦がれていた声に、全身が総毛立つ。
神経の先々まで痺れを発する。
ああ、これだけで充分イケちゃう……。
昇天に近い感覚に身悶えながら、けれど頭の中は冷静だった。
たった一つ、疑問を拭えないからだ。
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