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いろごとプリズム
第10章 悠真が欲しい
帰宅して着替え、若干の緊張感を抱えながら悠真のところへ向かう。部屋に入ると、悠真は待ち構えていたかのようにサーヤを抱き締め、キスの嵐を降り注いだ。
「サーヤ……、会いたかった……」
前回この部屋に来たのは、先週の金曜。今日は水曜で、たった五日会っていなかっただけなのに、悠真はひどく会いたかった様子だ。こんな風に素直に言ってくるのは珍しい。その間、サーヤの身には、確かにいろんなことが起きたけれど……。

「なんかオレさ……、やな予感しかしなくて」
「え、何が?」
「サーヤが他の男にも狙われてるんじゃないか、とか」
……まったくのビンゴだ。
「い、いやあ、その……」
「オレまだ彼氏とかじゃねーし、束縛する権利も何もないってわかってんだけどさ……、なんでこんなにむしゃくしゃすんのかって……、あーーーもうダメっ!惚れてんだよとにかくっ……」
熱いディープキス。どれだけ求められているのかが伝わってくる。こんなに想ってくれている悠真に、きちんと応えてあげられていない自分をサーヤは情けなく思う。

「……ごめん、悠真……。でも私、ショウマ君に会ったら、別れようって言おうと思ってるよ……。それだけは、決めた」
悠真の顔が緩む。
「ま、マジでっ?じゃあ、オレと……、」
「それは……、悩んでる」
「なんでだよ!?やっぱ他にも男いんの?」
「……まだ、わからないの。自分の気持ちを、もっとしっかり確かめてから付き合いたいなって……。ショウマ君の彼女になってさ、でも私やっぱり悠真が言ってたように、本当に好きで付き合ってたわけじゃなかったなって気付かされて……。こんな彼女じゃ相手に悪いんだなって思ってる。だから本当に好きな人と付き合いたいの」

悠真の瞳が寂しげな翳を帯びる。
「……そっか。まだオレは、そこまで想ってもらえてはいない……ってことなんだな。……わかったよ、けど他の奴になんか渡したくねぇ」
挑戦的な表情で悠真が強く言った。
「悠真がそう想ってくれてるのは、すごく、嬉しい……。だからこそ、私も同じぐらい好きにならないと、これ以上求めちゃいけないと思って……。それにまだ一応、ショウマ君の彼女なんだし、弟の悠真とこれ以上……、」
「……いいよ、そんなの。求めろよ。お前がオレを欲しがるならいつだって……、って言ってるだろ?」
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