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いろごとプリズム
第2章 悠真の部屋で
「お前さ、オレが女知らないとでも思ってんの?」
「えっ……!?いやいや、そういうつもりじゃ……」
「オレさ、モテるんだぜ。ていうかモテた。引きこもる前はちゃんと高校行ってたし」
「そ、そうだよね」
「高校入学した頃なんてさ、何人もに告られて、週替わりぐらいで付き合って」
「……すごいね」
「二股もかけたなぁ。それでもいいから一度だけ抱いて、とかさ、これどういうことよ!とか、もう女ってマジでめんどくせー!ってなった」
……予想以上にすごかった。

「だいたい、オレが惚れた奴はいなかったしな」
「え、どういうこと……?」
「だからー、好かれて付き合ってただけで、オレは好きじゃなかったってこと」

ああ……なるほど。……と、ふとショウマのことが脳裏をよぎり、サーヤはそんな自分に驚く。私は……ショウマ君のこと、好きで付き合ってるんだよね……?と、半ば自己暗示のように自分に問いかけていた時に、悠真が核心を突いてきた。

「サーヤは兄貴に惚れてんの?そんな感じしねーんだけど」

……言葉を失った。そんな感じしない……のか……、そうか。自分への問いの答えを、悠真が導き出してきた気がしていた。が、認めたくない。
「好き……だよ、だから付き合ってるんだし……」
「お前オレの話聞いてた?付き合ってるからって必ずしも好きなわけじゃないだろ」
……誤魔化せない。

「ショウマ君は……、私にはもったいないぐらい素敵だし、優しいし、私のことだいじにしてくれてるし……」
「置いてっちゃったくせに?」
――グサッ、と胸に刺さった。

「そ、それは仕方ないじゃない名古屋の大学しか受からなかったんだから」
「まぁそうだけどさ。オレはやだね、遠距離恋愛なんて。ありえねーよ」
「……私だって出来れば避けたかったよ」
望んで遠距離恋愛する人なんかいない、これは仕方のない事なんだ。
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