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いろごとプリズム
第14章 恋の相手
「お兄ちゃんの方がすっかり片付いたんだし、今が連絡するチャンスじゃないの?」
「そうは思うんだけど、ね……やっぱり気まずいよ……」
同じ家の中で、悠真との情事の最中ショウマに見つかり、ショウマの部屋に連れられてセックスさせられた……。喘ぎ声も聞かれていたことだろう。あの時以来顔も見ていない悠真。こんなに気まずいことはない。もう自分には悠真に合わせる顔がないとサーヤは思っていた。
「わかるけどさ……、好きだったら、ごちゃごちゃ言ってる場合じゃないと思うんだけどな、私は」
優奈が背中を押す。
「そこがね……。突っ走る勇気がない自分がほんと嫌になるよ」
「んー……、じれったいなぁ……。でもさ、よかった気がする」
「え?何が」
「サーヤにちゃんと好きな人ができて。よかったよ」
確かにそうだ。ショウマと恋人だった時には、ちゃんと好きでいてあげられなかった。
「片想いでもね、恋をすると人間いろいろ変わるよ」
いろんな恋を経て芹沢との円満な関係を保ち続けている優奈の笑顔が、まるでおまじないのように、サーヤの心に響いた。
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