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いろごとプリズム
第14章 恋の相手
その日の帰り、最寄駅からもうすぐ家に着くという場所で、サーヤは悠真の姿を見かけ、目を疑った。女の子と一緒にいるのだ。ネットで見た様子から、ルーナのように見えた。気付かれないようコソコソしながら、でも見失わないように、もちろん隣の家なので同じ方向へと進んでいった。
(待ってよ、こっちに行くってことは、部屋に入れるの……?嫌、嫌だ……そんなの見たくない……!)
見たくないと思いながらも、ここで見届けずに勝手に部屋に入れたものと思い込むことになるのも嫌だった。部屋には入れないという淡い期待を抱え、サーヤは進んでいた。マンションに着いたけれど、同じエレベーターに乗るわけにはいかないな……とエントランスロビーで思っていた時、ルーナが足を止め、じゃあここで待ってるね、と言ったのが聞こえた。
(入らない、部屋には入らないんだ……!よしっ)
自分でも驚く、本能的な行動だった。サーヤは足早にスタスタと進み、何気ない顔をして悠真と同じエレベーターに急いで乗り込んだ。
「あ……、久しぶり」
エレベーターの中で二人きりになると、悠真が言った。
「ど、どうも……」
気まずい空気が流れるけれど、こうしてバッタリ会うのは隣の家なんだから当たり前のこと、と自分に言い聞かせながら、サーヤは作り笑いを浮かべて言った。
「あの女の子、かっ、彼女?かな?」
どう見ても苦笑いのその顔と質問の噛み合わなさに、悠真の目が丸くなる。
「え……、あ、いや……んー、」
はっきりしない返事のまま、エレベーターが着いた。家の前まで沈黙を続けながら歩き、ドアに辿り着いた時、一斉に口を開いた。
(待ってよ、こっちに行くってことは、部屋に入れるの……?嫌、嫌だ……そんなの見たくない……!)
見たくないと思いながらも、ここで見届けずに勝手に部屋に入れたものと思い込むことになるのも嫌だった。部屋には入れないという淡い期待を抱え、サーヤは進んでいた。マンションに着いたけれど、同じエレベーターに乗るわけにはいかないな……とエントランスロビーで思っていた時、ルーナが足を止め、じゃあここで待ってるね、と言ったのが聞こえた。
(入らない、部屋には入らないんだ……!よしっ)
自分でも驚く、本能的な行動だった。サーヤは足早にスタスタと進み、何気ない顔をして悠真と同じエレベーターに急いで乗り込んだ。
「あ……、久しぶり」
エレベーターの中で二人きりになると、悠真が言った。
「ど、どうも……」
気まずい空気が流れるけれど、こうしてバッタリ会うのは隣の家なんだから当たり前のこと、と自分に言い聞かせながら、サーヤは作り笑いを浮かべて言った。
「あの女の子、かっ、彼女?かな?」
どう見ても苦笑いのその顔と質問の噛み合わなさに、悠真の目が丸くなる。
「え……、あ、いや……んー、」
はっきりしない返事のまま、エレベーターが着いた。家の前まで沈黙を続けながら歩き、ドアに辿り着いた時、一斉に口を開いた。