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いろごとプリズム
第15章 神山家の事情
紐解かれていく神山家の事情。けど悠真の母親はいったい今、どこに……?
「兄貴の性格があんな風になったのは、そんな影響が大きいと思う。良い子を演じて、感情を表に出せなくて……。けど昔っから、オレにだけはぶつけてくるんだよな」
それはもしかしたら、憎しみではなく、心を許している相手……ということなのかもしれないと、サーヤは感じた。
「親父は自分に似てる兄貴を気に入ってる。そしてオレを嫌ってる……オレのおふくろに似てるからなんだろうけどな」
「えぇと……、お母さんは……、」
「ああ、うん。お前は会った事もないよな。結局、オレのことも捨てて、他の男のとこに行っちまったからさ。オレが8歳ぐらいの頃だったかな」
「……つらいね」
サーヤが隣に越してきたのは中学生になってからだった。今まで知らなかった、複雑すぎる神山家。サーヤには想像もつかない現実がそこにはあった。サーヤの家は父親が単身赴任で母親は仕事で忙しく不在がちではあるものの、そういった揉め事はない。
「親父も懲りないからさー、今も新しい彼女んちに入り浸りで家にいないってわけ。けどもうさすがに結婚は懲りたみたいだな。年だし、オレ達に金かかるしね。金だけはきっちり面倒見てくれてるから、まぁオレは嫌われてても感謝してるけどさ」
「……いろいろ、あったんだね」
「まぁね。オレのおふくろは、たまにメールくれるよ。自由な人だからさ、憎むだけ損って言うかな。……けど、なんて言うか、オレ達兄弟、そんな感じで母親ってものにあまりちゃんと甘えられないまま育ってるとこあって……。たぶんふたりとも、サーヤに依存……してたんだと思う」
胸がきゅうっと締め付けられた。幼い兄弟ふたりの姿が目に浮かび、ふたりとも抱き締めてあげたくなる。
「兄貴の性格があんな風になったのは、そんな影響が大きいと思う。良い子を演じて、感情を表に出せなくて……。けど昔っから、オレにだけはぶつけてくるんだよな」
それはもしかしたら、憎しみではなく、心を許している相手……ということなのかもしれないと、サーヤは感じた。
「親父は自分に似てる兄貴を気に入ってる。そしてオレを嫌ってる……オレのおふくろに似てるからなんだろうけどな」
「えぇと……、お母さんは……、」
「ああ、うん。お前は会った事もないよな。結局、オレのことも捨てて、他の男のとこに行っちまったからさ。オレが8歳ぐらいの頃だったかな」
「……つらいね」
サーヤが隣に越してきたのは中学生になってからだった。今まで知らなかった、複雑すぎる神山家。サーヤには想像もつかない現実がそこにはあった。サーヤの家は父親が単身赴任で母親は仕事で忙しく不在がちではあるものの、そういった揉め事はない。
「親父も懲りないからさー、今も新しい彼女んちに入り浸りで家にいないってわけ。けどもうさすがに結婚は懲りたみたいだな。年だし、オレ達に金かかるしね。金だけはきっちり面倒見てくれてるから、まぁオレは嫌われてても感謝してるけどさ」
「……いろいろ、あったんだね」
「まぁね。オレのおふくろは、たまにメールくれるよ。自由な人だからさ、憎むだけ損って言うかな。……けど、なんて言うか、オレ達兄弟、そんな感じで母親ってものにあまりちゃんと甘えられないまま育ってるとこあって……。たぶんふたりとも、サーヤに依存……してたんだと思う」
胸がきゅうっと締め付けられた。幼い兄弟ふたりの姿が目に浮かび、ふたりとも抱き締めてあげたくなる。