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12→13
第1章 0001
『あぁぁぁぁぁあ…………。』
ゴツン、と溜め息を出しながらわたしは机に突っ伏した。
あれから一度家に帰り、身支度をし、会社のデスクに頭を打ち付けた。
考えても考えても分からない。
枢木(くるるぎ)みのり、22歳にして久々の壁にぶち当たった。
今までそんな粗相は犯さなかったのに…。
若気の至りで何度かやったことはあるが。
この会社でまさか、まさか、ま、さ、か、
『よりによって主任は無いでしょ……。』
「まあ、無いだろうねぇ。」
『っ!』
「はよ、みのり。」とわたしの突っ伏した頭に手を置きながら言うのは、同期の男性社員。
『あ、おはよぅ……そーちゃん…。』
「なんか随分死んだ顔してる。」
『……聞いてくれる?』
「イヤだ、聞きたくない、」
そーちゃん…飯田颯汰(イイダ ソウタ)はわたしに毒づく。
それでもこれでも、主任と並ぶナンバー2の人気。
今風の社風にはあまりにも程遠い茶色い髪の毛にツーブロックの襟足はちょっと跳ねてる。
それでも、
「あっ。飯田くんおはよ!」
「お早う御座います。御姉様方。」
甘いルックスに良い声。
これに惑わされる女性社員が後を絶たない。
『ウソツキ…。』
「あん?」
なんだよ、枢木。と他の人が居るときは下の名前で呼ばないのも、颯汰の優しさだろう。
「仕事終わったらいつものとこな。」
颯汰は呟いて自席に座った。