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真壁君は喋らない
第1章 真壁君は喋らない
ついでに真壁の名を出すと、祐介は一気にテンションが落ちる。大きな溜め息に、あたしは喜んでいいのか怒っていいのか複雑な気分になった。
「しかし、あの真壁が女にプレゼント? これはこれで事件じゃね?」
「なに、あの真壁って。あんた真壁と話した事ないじゃん」
「そりゃないけどさ、学内じゃ有名だろ。デカいから目立つしイケメンだし、まあ……無愛想なとこも」
「そんなに有名なの?」
「運動系のサークルが、一時期取り合いしてたしな。高校の時は『伝説の助っ人』とか言われてたらしいとかで」
確かに真壁は、妙に運動神経がいい。特定の部活には頑なに入ろうとしなかったけれど、助っ人は気軽に引き受けていた。あの性格な分友達は皆無だったけれど、スポーツ関係の人間には信頼が厚かったはずだ。
「今もたまに頼まれてるらしいぞ……って、それか!!」
突然手を叩き、一人で頷く祐介。あたしが眉をひそめていると、また勢いづいて喋り出す。
「テニスサークルの、中原 美也子! あの子に惚れてんじゃねぇ!?」
中原 美也子。聞いた事のない名前だ。大体真壁のプレゼントは幽霊相手なんだから、祐介の予想は見当違いだ。