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今日私は自分の子供を殺しました
第10章 過去の傷2nd Ⅱ
アオイの店には見覚えのある黒いシーマが停まっていた。
「…まだ仕事中なのかな?」
だけどその願いは虚しく、アオイは車の中で酔っ払って寝ていた。
その時、あたしの中で何かが壊れかけた。
『どうしてこんな時に寝てられるの?……』
たまらずに涙がわんわんと出てきた。
「待って!今起こすから」
ユリは車をどんどん叩いて起こそうとしている。
『…もう…ぃぃ。』
あたしは泣きながら駅に向かい歩きだした。
「…リオ。」
妊娠すると感情が過激になるってよく言うけど、
これも、そうなのかな?
悲しくて悲しくて仕方がなかった。
あたしは泣きながら歩き何度も電柱にぶつかり終いにはその場に座り込んでしまった。
ぶつけたおでこが痛い…
アオイなら、会ってすぐに抱きしめてきて
「おめでとう、一緒にがんばろう」
って言ってくれると思っていた。
女なら誰もが妊娠した時を想像したら、
相手の男性は歓声をあげて喜んで授かった命にそっと触れるところを
想像するでしょ?
それとはあまりにも掛け離れすぎていて…
幼き日の純粋な女の子の夢は簡単に「理想」にされてしまったんだ。