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今日私は自分の子供を殺しました
第10章 過去の傷2nd Ⅱ
いつもの待ち合わせ場所でユリと合流した
泣き腫らした眼は腫れていて精神もまだ不安定だった。
「リオ大丈夫?無理しないほうがいいよ?」
『大丈夫。ありがとう、やっぱりちゃんと会って話さないとって思って…だからまた今日アオイに会おうと思う。』
本当はまだ会いたくない
だけどあたしひとりの問題ではないんだ。
あたしが母親でアオイが父親。
ふたりがいたからこそ誕生したお腹のこの命
ひとりで決める事なんてなにひとつない。
「大丈夫なの?」
『うん!アオイに連絡しないと』
メール送信ーアオイー
今日はちゃんと会って話せる?
あたし達が出勤した頃にメールは返ってきた。
メール着信ーアオイー
当たり前だろ!今日は絶対に迎えに行く。はやく会いたい
お腹にそっと手を当てた
あたしは今、ユリやアオイに頼って突然の妊娠を理由に
こんなに困惑してひとりじゃなにも考えられなくて
アオイアオイと父親の意見を求めているけど
赤ちゃんは違うんだよね。赤ちゃんが頼れるのは母親のこのあたしだけなんだよね。
一心同体のあたしだけなんだよね。
あたしはだめなママだね
弱いね。弱いね…
あたしは必死にお腹の赤ちゃんに話しかけた。
初めての妊娠。
本当にこのぺちゃんこのお腹の中に
赤ちゃんが居るのだろうか
それすらも実感がなく、必死に見えない我が子に話しかけては
自分の母性本能を確かめた。
そして誤り続けるあたしはただの、偽善者だ。