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夜は、毎晩やってくる。
第10章 ダンサー・イン・ザ・ダークライト
「この子たち、全然わかってないのよ。ショウビジネスなのよ。男のアイドルグループたちが相手にするのは年頃の女の子たちなの。セックシャルなイメージがなければ売れはしないの。それなのに、見てやってよ、このダンスったら! 酷いものだわ……このレベルじゃ考え直さないといけないわ」
憤然として、ハイヒールを鳴らしてスタジオの壁一面にに張られた大きな鏡の前を行ったり来たりする慶子。
入口近くに控える運転手兼付き人の陣内の頬がまたプルプルッと痙攣する。
私は、彼女に連れて来られた三人の男の達へと目をやった。
デビュー目前のアイドルの卵たち。女性のファンを魅了するために破らなければならない最後の殻はなかなか手強い。
みんな、真剣で、緊張した面持ちで立ち尽している。
一番背が高く、責任感がありそうな海堂一雅。
色白で中世的な顔立ちの紅葉リュート。
そして、ちょっと茶目っ気がありそうな大きな瞳の持ち主、梨尾亮介。
三人とも、立ち姿は板についている。
まだ若く、体つきには線の細さが残るが、それでも今まで厳しいレッスンに耐えてきたことが充分に見て取れる筋肉。
マスクが良いのは勿論、各自自前のラフなダンスの練習着もセンスが良い。
大門慶子の眼力、いまだ衰えずといった所か。