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夜は、毎晩やってくる。
第10章 ダンサー・イン・ザ・ダークライト
しかし、女もまだ知らないような年齢の男の子たちに、セクシャルなイメージと言ったって限界がある。
無論、この子たちだって馬鹿じゃないし、男なのだから、言われればそれなりに自分たちでそれらしい振り付けを工夫するだろうが、所詮は想像の産物。ただステージに立つだけで女を濡れさせるような佇まいは一朝一夕で身につくものではない。
しかし、そういう常識は慶子には通用しないのだ。
かつて一緒にユニットを組んでいた頃からの長い付き合いだからわかっている。
「この子たちを一週間でモノにして。お願い、ロマ。もうあなたしかいないの」
「わかったわ。あなたの頼みだものね、なんとかやってみましょう」
ため息をつきたい所だったが、アイドル候補生の前だ。
事務所の社長の対面を考えて無表情のまま私は応えた。
「さすが天才振付師、用足(もちたり)ロマね! いいこと、貴方たち! 彼女の言う事をよく聞いて特訓に励むのよ。一週間後に成果を見て、駄目なようなら本当に考え直します」
慶子が破顔し、そして入口では陣内が祈るような目つきで私をじっと見つめていた。