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夜は、毎晩やってくる。
第10章 ダンサー・イン・ザ・ダークライト
ほどなく、彼らは詰襟の白い軍服のステージ衣装姿となって戻ってきた。
帽子のつばをきちんと真っ直ぐにしている一雅。垂らした前髪の長い方に合わせてハスにかぶっているリュート。後ろ向きに被る……というより頭に乗せているだけの亮介。三者三様だが、それは別にかまわない。
慶子が見込んだだけあって、さすがにちょっと見とれてしまう。みんな舞台映えがする。素材としては本当に申し分なし。
それ以上に化けさせるには、これからにかかっている。
「いいわ……それじゃあ、もう一度やって貰うわよ」
そう言って位置につかせ、ミズキに合図する。
今度はスタジオの照明を落として、ブラックライトに切り替える。
すると、紫外線を受けて暗闇の中に白い衣服の輪郭だけがぼうっと浮かび上がった。
「わかるかしら? 今、見えているのは貴方たちが着ているものだけ。肉体は存在していない」
闇に呑み込まれて消え失せた体。
ダンサーの存在を証明するのは、蛍光素材の発する燐光だけだ。
その状態で、どうやって表現する?
どうやって伝える?
「ミュージック、スタート!」
私の掛け声で再び彼らのデビュー曲が大音量で響き渡った。