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夜は、毎晩やってくる。
第1章 プレイ・フォー・ペイ
ただ、同情してもらいたかっただけなのに、詩利香からもたらされたのは、あたしが思いもしなかった解決策だった。
「そーよ、自分で買えばいいじゃない。そうすれば好きなだけゲームできるでしょ」
「でも……スマホっていくらぐらいするのかな?」
あたしの持っていたのは、高校に受かった時にお父さんがご褒美で買ってくれたやつだった。それまで使っていたケータイだって基本、親から与えられたものだった。機種だけは選ばせて貰ってたけど。
「さあ?」
詩利香はスマホじゃないから値段は知らないらしい。
「……それに月々の料金だって払わないといけないよね?」
「まあ、そうなるね」
「そんなの無理だよ! ただでさえ、ゲームに使った分、お小遣い半年間停止にされちゃったのに!」
「う……半年……それはイタイね。てか、アンタ一体いくらつぎ込んでたのよ!」
「あーん、零音にもう会えないんだあ……」
「ちょっ……美緒! 声おっき……」
詩利香が教室に残っている他の人達に目を向ける。
私たちの他に男子が三人、少し離れた所で固まって何か音楽雑誌を開いてお喋りをしていた。
「だって、だって……」
なんだか言っているうちに、本当に切なくなって来た。
零音。あたしの零音。