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夜は、毎晩やってくる。
第1章 プレイ・フォー・ペイ

 いつも、わたしのことをお見舞いに来てくれた零音。

 不治の病のあたしを、あからさまに慰めたり励ますことなく、ただ嫌な事を忘れさせるかのように楽しい事ばかり話してくれた男の子。

 生きる希望をくれた零音。
 私が病気と戦うのは、私の命の為じゃないよ、零音の為なんだよ。

 スマホの画面の前でボロボロ泣いた、あの時のように。

 ああ、こういうことなんだね。
 失うということは。

 貴方の言葉。
 貴方の眼差し。
 貴方との毎日。

「うっ……うっ……うぇぇ……」

「ちょ……? なにマジ泣きしてんのよ~」

「だっで……だっで……」

「しょうがないなぁ……おい、お前ら!」

「……えっ?」

 突然の大声に、私が涙のまま顔を上げる。
 いきなり呼ばれた三人の男子たちも、びっくりした顔でこちらを見ていた。

 でも、続いて詩利香が言い放った言葉にもっと驚いた顔になる。

「一万円で美緒とキス。払う奴いるか?」

「いきなり何言ってんの、詩利香!」

「だって、お金ないんでしょ? それでも男と会いたいんなら身を切るしかないでしょーが」

 そうだけど……。
 って、そうなのかしら?

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