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夜は、毎晩やってくる。
第2章 えすかれ
昨夜、この場所で待ち合わせと言われて、変な場所とは思っていたけれど、乗り換え線の先にある遊園地に行くのだろうと思っていた。
若い男と女が、この線に乗り換えて他にどこに行くのかというぐらいのド定番だ。
「ヒナ、早く乗って」
まるでこのエスカレーターが遊園地の乗り物か何かであるかのように稜也がせかす。
そりゃあ確かに、日本一のエスカレーターならアトラクションみたいなものかもしれないけれど……。
でも、稜也はいつもこんなだ。
雛子が考えもしないような事ばかり言いだすのだ。
そう、いつものように。
(始まるんだ……)
背筋がゾクッとする。
お腹の辺りにきゅぅんという感覚が走り始める。
言われた通りにエスカレーターに足を踏み出すと、続いて稜也が乗る。
三基も並んでいるせいか、そんなに幅の広くないエスカレーターだ。
歩いてすれ違うことはかろうじて出来る程度の余裕はあるが、下りではそういう人はいても、上りではいない。
多分、距離が長すぎて歩いて登るのは疲れるからだろう。
「じゃあ、さ……パンツ脱いで」