この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夜は、毎晩やってくる。
第2章 えすかれ
背の高い稜也の口もとは一段後ろからだとちょうど雛子の耳元の位置になる。
囁くには絶好のポジションだった。
いつものいやらしい感じの声の調子が、吐息と共に耳朶に触れると、それだけで、変な気分になってしまう。
「え……こんな……所で……?」
「好きだろ?」
「や……好きとかじゃ……」
付き合い始めてから今まで、何度か似たような事は命令されて、そして従って来たけれど……脱ぐのが好きというより、それは稜也が喜ぶから。
そんな想いもあったけれど、でも結局は雛子も、いつもそんな行為で感じてしまうのだ。
間違いではないのかもしれない。
自分はそういうことが元々好きなのかもしれない……。
でも……
「早くしてよ。地上に出るまでに脱げなかったら、ここで今日のデートはお終いな」
「え……そんなのヤダ……」
「じゃあ急ごう? ほら、壁が窓ガラスになっちゃうよ」
言われて雛子は焦る。
頭上に、窓ガラス越しの陽光が近づいて来ていた。
今日着て来たのは超ミニのワンピースだった。
こないだの誕生日に稜也がプレゼントしてくれた奴だ。
それを着て来るようにと、昨日の電話で言われたのだ。