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夜は、毎晩やってくる。
第2章 えすかれ
「やだよぅっ……駄目ぇ……恥ずかしいのぉ……」
「バスかしいからイイんだろ……? わかってるクセに……」
「やぁん……ァ……ァアンッ! ッ……あっ……そこ……深いィッ……」
両方の手すりのベルトに伸ばした腕でどうにか体を支える雛子。
下半身はもうグラグラで、力が入らない。
体のその下半分だけどこか遠くの異次元にあるように感じる。
握っていた手から、ハラリとショーツが落ちる。
「あ……」
「上に着いたら拾ってやるよ」
「上……」
言われて見上げると、一番下で見た時はぼんやりと光の中に霞んでいた頂上がもう間近だった。
そして、雛子のたちの両側の下りエスカレーターに乗っている人たちの姿が目に入る。
チラリと雛子のほうに目を向けてくる人もいるが、基本皆無関心だ。というより、気がついていない様子だ。
意外と、上側からでは腰から下のあたりは死角で見えないのかもしれない。
それでも、もしすれ違ってから振り向かれたら……?
どんな情景が見えてしまうのだろう。
そんな想像がまたいっそう、雛子をゾクゾクとさせる。
駄目だ。この感覚。
呑み込まれてしまう。溺れてしまう。クセになってしまう。