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夜は、毎晩やってくる。
第3章 姉に捧げる、愛の……
そして跳ぶ!
トリプルアクセル。
着地したエッジが氷面を削り、慣性を殺さぬまま僕はリンクを観客席に向かって滑走する。
コスチュームの衿をなびかせる風は、僕の起こした風。
その中に、姉さんを感じる。
そうだ。
僕らはいつもいっしょだ。
愛おしむようにまとわりつくその見えない肉体。
フリー・ソロを僕らはペアで踊る。
バックスケーティングする僕は、姉さんを抱いたまま跳ぶ。
トリプルルッツ、トウループ。
一回転、二回転、三回転……四回転!
振り落とされぬよう、固くしがみついてくるのを感じる。
もっと、強く……僕を離さないで。
昨日の夜のように、激しく僕を追い詰めて。
僕も離さないから。
姉さんに突き立てた熱の竜巻を、今夜も。
ああ、ああっ……姉さんっ!
激しく……毎夜繰り返されるあの行為のように。
姉さんの中に、ねえ、僕は姉さんの中に……!