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夜は、毎晩やってくる。
第4章 キャッシュ・レジスター
黙ったままVIPカードを受け取り、レジに通す。
そして、カゴに積まれた大量の商品に目をやる。
「今日……買い物が多くない?」
「ヘヘッ、今までで一番沢山でしょ。まとめ買い作戦だよ……紗美菜さん、しぶといからな。今日こそはっ……てね」
本当。
こんなに沢山レジを通さなければならないなんて、私……耐えきれるかしら。
駄目……弱気になっては。
キリコちゃんの為にも、今日もしのがないと。
少し、お客が途切れる時間帯。
きっとキリコちゃん、自分のレジからこっちを見つめてむくれてるに違いない。吉村くん……本当に、あっちのレジでお会計してあげればいいのに……。
と、思っていたらキリコちゃんのほうにもお客がやってきた。
吉村くんと同様、買い物カゴをいっぱいにした……そしてやはり常連客の佐和田さんだ。中年の佐和田さんはまだ定年退職という歳には見えないけれど、いつも私服で、しかもこういう半端な時間にお買い物に来る。自由業か何かなのだろう。
VIPカードを受け取ったキリコちゃんは、少しだけ躊躇いを見せたけれども、レジを打ち始めた。
「即席袋めん2点……ふりかけ・お茶漬け1点……缶詰4点……おせんべい2点……水産珍味2点……カップ日本酒3点……洗髪剤1点……」