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夜は、毎晩やってくる。
第1章 プレイ・フォー・ペイ
ど、どうしよう……。
詩利香が勝手に言った事。
嘘だよ、冗談だよ……そう言うことはできる。
でも……もし、本当だよって言ったら……?
本当だったら、鈴木山君は一万円、私にくれるのかな?
そうしたら、あたし、自分のスマホが買えるのかな。
零音に会えるのかな、今日にでも。
零音の微笑みが心に浮かんで、私に否定の言葉を躊躇わさせる。
「う……ん……本当……だ、よ……」
気づいたら口にしてしまっていた。
おおっと小さくどよめく男子たち。
「マジで!?」
鈴木山くんが座っていた机からストンと飛び降りて、私たちのほうへやって来る。間の椅子や机の隙間を縫うように、お尻を捻ってスキップするように……。
そして、私たちの隣の席に座ったときには、もうその手には学生服の懐から取り出した財布が握られていた。
「う……ん」
鈴木山くんはバンドをやってて、けっこうクラスの女子からも人気がある。
可愛げのあるちょっと甘い声もいいけど、マスクもいい。
ヘアスタイルだって色々気を使っていて、最近はショートカットにした頭を捻って尖らせたような変わった髪形にしていた。
私はちょっと怖いかなって思っていて、そんなにタイプでもなかったんだけど。
男の子に間近で正面から見つめられて……。
恥ずかしい。
うつむきがちに頷くあたし。