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秘密の二段ベッド
第2章 師匠大活躍
お兄ちゃんは笑いながら近づいてくる。
「なに呻ってたの、宿題?」
とん、と机に手を付く。骨ばった手の甲に目が吸い寄せられる。

「う、うん……」
「ふーん、教えてあげようか?」
「えっ、い、いいっ別に大丈夫っ」
「だって声に出して呻ってたよ、うーーーーーーんって」
お兄ちゃんがわたしの真似をしてまたクククと笑う。
「もうっ」と肩を叩くとひょい、と避ける。

ぽん、とわたしの頭に手を置くと
「待ってな、着替えてくるから」
と言ってベッドのカーテンを開けて向こうに抜けていった。

その様子が前と全然変わらなくて、わたしはほっとしていた。
ドキドキはするけど、あんなに普通に接されると戸惑ってる方が変みたいだし、わたしも普通にしてていいんだと思えた。
藤崎師匠のおかげかも。
皆してて、皆普通なんだよね。


しばらくしてお兄ちゃんが着替えてまた出てきた。
その手には今週のジャンプがあって、
「あっ、ジャンプ!」
と手を伸ばすと
「だーめ、これは勉強できてから」
と避けられた。

なんだか子供扱いされてるみたいで、だけどそうそうわたしたちはいつもこんな感じ、と懐かしい様な気持ちになって嬉しかった。

勉強を教えてもらってる間、近くにくるお兄ちゃんの気配にはやっぱりドキドキしてしまったけれど。
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