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秘密の二段ベッド
第3章 お兄ちゃんの憂鬱
あやねの顔をじっと見る。もう一度寝言を言わないかな、と待ってみたけど何も言わない。
すぅすぅと可愛らしい寝息が聞こえるだけだ。
前髪がクーラーの風でかすかにそよぐ。毛先が睫毛に引っかかったのをそっと指で払う。
綺麗に放射状に広がる睫毛は黒くて長い。下に影ができるくらい。
撫でてみたくなるけれどさすがに起きてしまうかな、と思ってやめておく。

こんなにじっと見られるときなんてそうないかも。
僕は遠慮なくあやねの顔を眺めた。

まぁるいおでこ。ふっくらした頬。小さい鼻。ぽってりした唇。
床に膝をついたまま前のめりになってあやねの顔を覗き込む。
可愛らしい耳。部屋の電灯にうっすら光る産毛。白い首筋。
その全部に触りたい衝動が湧く。
膝に置いた手がうずうずして、ぎゅっと拳を握る。

あやねの、すべすべの肌がそこにあるのに。
本当は、触るだけじゃなくて、もっといろいろしたい。
手で触れて、唇で触れて、感触や肌触りを確かめたい。
「苦しい」と言われるまでぎゅっと抱きしめて、優しく撫でて、それから、それから……。

だめだ。完全に勃起してしまった。
……。
苦しいから、少しだけ……。

僕は制服のズボンのベルトを外し、チャックを下ろした。
パンツの前がむっくりと起き上がって、ズボンから顔を出す。
自分の呼吸が荒くなっているのが解った。

そっと手を伸ばす。
すすす、と硬さを確かめるように指を滑らせると、ぞくぞくっと快感が走った。
だめだ、こんなこと。
そう思いながら、止められない。
あやねを見る。
起きそうな気配はない。
時計を見る。
母さんもまだ帰る時間じゃない。
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