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秘密の二段ベッド
第1章 はじまり

まだ寒い時期だったような、それともぽかぽかの春休みだったような。
いつからだったかは曖昧で覚えていないけど、お兄ちゃんは二段ベッドの下の段で、深夜にこっそり「それ」をし始めた。
わたしはいつものように、その気配を上の段で感じていた。

最初は何で目が覚めたのか解らなかった。トイレにも行きたくないし、昼寝したわけでもないのに。でもすぐ下から布を擦るような音が聞こえてきて、ぱっちりと目が覚めた。
じっと息を殺していると、お兄ちゃんの鼻息が聞こえた。ふーふーと強い呼吸。
普段ならすぐ声をかけるとこだけど、なんでかわたしは静かにして耳を澄ませた。

「……っ、……はぁ」
荒い息の中、時々呻くような、何かに耐えるような声が聞こえた。
声が出るたびにベッドのきしむ音もして、なんだか怖くなる。
でもまだ声をかける気にはならなくてじっとしていた。

しばらくしてギシッとひときわ大きく音がして、お兄ちゃんが起き上がる気配がした。シュシュシュッという音でお兄ちゃんがティッシュを数枚引き抜いたのが解った。
「……っ、うぅ」
また小さなうめき声が聞こえて、何かを擦るような音が激しくなってきた。
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