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秘密の二段ベッド
第6章 二人の夜
学校でも気付いたらため息をついていて、師匠にどうしたの? と聞かれる。
わたしは全部話したい気持ちになるけれど、こんなこと言えないし、秘密だ。

でも二人きりの帰り道、カンのいい師匠はズバリと聞いてきた。
「わかった。お兄さんのことでしょ~。なに、彼女でもできたとか?」
うっ、と詰まったわたしを見て師匠がやっぱり、という顔をする。
「できたって決まったわけじゃないけど、なんか、そうかもって……」
「さみしいんだ?」
「うん……」

さみしい、のかな。もっと、焦る感じがする。
もっと、気持ちがざわざわする。
「わかった、焼きもちだ。お兄ちゃん取られたくないんだね」
「……うん」

多分師匠の言うとおりだ。
わたし顔も知らない誰かに焼きもち妬いてる。
彼女いるって決まったわけじゃないけど……。
本当にそうだとしたら、わたし……。

じわっと涙が出そうになって、立ち止まって目を押さえる。
「ありゃりゃ」
師匠が言ってハンカチを目に当ててくれる。
「……ありがとう」
「ううん、ごめんねずけずけ聞いて」
「ううん」
師匠のそういうところに助けられてることいっぱいあるの。

今思い返すとそうだ、師匠がいたからえっちなことも悪いことじゃないってわかったし、楽しいことたくさんあった。

わたしは師匠を家に誘った。
「あのね、聞いてほしいことがあって」
わたしが真剣に言うと、一瞬びっくりした師匠がにっこりと笑って
「うん、わかった」
と言った。わたしは安心感でまた少し涙が出た。
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