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第6章 二人の夜

全部話し終わると、師匠は
「は～、なるほどねぇ」
と言って腕を組んだ。
あんまり驚いてない感じで、びっくりしないの？　と聞くと
「なんとなくわかってたよ」
とさらっと答えた。

その返事にわたしの方がびっくりしてしまった。
「えええっそうなの？」
「うん、だって……お兄さんあやねちゃんを見る目とかさぁ、なんか優しいんだもん」
「それは……お兄ちゃんだから」
「ほんとのじゃないでしょ？」
「うん……、そっか」
師匠が言うならそうなのかなぁ。

「彼女とかじゃないかもね」
「えっほんと？」
「わかんないけど、下着姿見てこれ以上はいけないって思っちゃったとか？」
「これ以上？」
「オナニーだけじゃ足りなくなっちゃったら駄目だから～みたいな」
「……えっ」
「我慢してくれてるんじゃない？」
「そう、なの……？」
「わかんないけどさぁ」
うーんと師匠が伸びをして言う。

「確かにあやねちゃんのあの姿は刺激的だったと思うよぉ～」
にやにやと、いつもの師匠に戻って言う。
「約束って、いいね」
師匠がわたしの手を取る。
「こんな簡単な事もずーーっと我慢できるくらい、大事にされてるんじゃない？」
にぎにぎ、と師匠がわたしの手を握る。

わたしは胸の中が温かくなるのを感じた。
そうなのかな。本当に？
だとしたら、わたし……。