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秘密の二段ベッド
第6章 二人の夜
両親の旅行について、お兄ちゃんは露骨に嫌がった。
じゃあその日は僕も友達のところに行く、とか四人で行こう、とかいろいろ抵抗していたけど、結局はわたしと両親に阻まれて二人のお留守番が決定した。
二人でちゃんと家にいること。
どこかに行ったり誰かを呼んだりも駄目。
はーい、と元気に返事したのはわたしだけだったけど、お兄ちゃんも最後は諦めるようにわかったよ、と返事をした。

決まってしまえば早いもので、お父さんもお母さんもあわただしい日々の合間に準備をするのが楽しげだった。
わたしはお母さんと旅行用の服を見に行ったり、お父さんとは結婚記念日用のプレゼントをこっそり選んだりした。

お兄ちゃんだけが思案顔で、お兄ちゃんがしっかりしないとな、とお父さんに背中を叩かれたりしていた。
わたし的にはしっかりしてない方がいいんだけどな、と思った。流されてもらわなきゃ、なんて。


話を聞いてもらった師匠にも報告した。
師匠は興奮気味に、チャンスだね! と言ってわたしの肩を掴んで揺さぶった
「ゴム忘れちゃだめだよ」と下ネタも忘れない。
「も~っ」と師匠の肩を叩きながら、でもわたしまだ生理きてないから大丈夫なんじゃないかな……なんて思った。


どうしよう、どんなふうに言おう、と考えている間に日々は過ぎて、あっという間にお留守番の日になった。
出がけにお兄ちゃんがやっぱり友達呼ぼうかな、とか言い出したりしたけど、お母さんに「向こうから電話して誰も来てないかとかどこか行ってないかとかちゃんとあやねに聞くからね!」 と言われて諦めたみたいだった。
お父さんはもうご機嫌で、「まぁまぁ、大丈夫だよそこまでしなくても~」なんて暢気なものだった。

二人の背中を見送ってすぐ、とりあえず昼間は友達と遊ぶ約束してるから、とお兄ちゃんは出かけて行った。
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