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秘密の二段ベッド
第6章 二人の夜
名前を呼ばれて、恥ずかしいけど頑張って顔をあげたその時、お兄ちゃんの唇がわたしの唇を塞いだ。

意外に柔らかい、っていうのが最初の感想だった。
なんとなく、男の人の唇は硬そうな気がしてたのに。
それに熱くて、くっついたところから溶けてしまいそうで、思わずぎゅっと目を閉じた。

お兄ちゃんの手が肩から腕、背中へと回る。
大きくて熱い手の平に撫でられると、それだけで体の芯がむずむずしてくる。

何度も何度も、唇が少し離れてはくっついてを繰り返す。
恥ずかしいけど気持ち良くて、わたしはお兄ちゃんのTシャツをぎゅっと握る。
息苦しくなって目を開けるとお兄ちゃんと目が合って、とっさに顎をひいてしまう。

「見ちゃやだ……恥ずかしいよ」
「……こんなかっこで誘惑しといて?」
お兄ちゃんの手が背中を滑る。
「ん……」
体がぶるっと震える。

ふふ、とお兄ちゃんの笑う息が顔にかかる。
「あやね……」
名前を呼ぶ声に誘われるように視線を上げると、お兄ちゃんが今まで見たことないような顔をしていて、わたしはきっとこういう顔を「色っぽい」っていうんだなと思った。
半分閉じた目が潤んで光ってる。じっとわたしを見つめる瞳に金縛りにあったように動けなくなる。頭の奥がじぃんと痺れて、うっとりするってこういうことなんだ、と思う。

少し開いた唇が近づいてきて、わたしも合わせるように唇を開く。
重なり合ったところがぴったりくっつくのがわかった。
唇の内側。
しっとり濡れた粘膜が触れあうと、ビクリと肩が上がった。
肌と肌が触れるのとはまた違う種類の気持ち良さ。
どうしようもなく、自分の内側から起る快感を感じた。

お兄ちゃんも同じだったのか、背中に触れた手がぴくっと止まったかと思うと、すぐにぐっとわたしの体を抱き寄せた。
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