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第2章 10月ー沙織の誕生日ー

まぁ息子を盗られると敵対視されるよりはずっといいけど、自分の何がそんなに気に入られたのかがよく分からない。

ルックスもスタイルも家庭環境から仕事、学生時代の成績に至るまで、どこを取っても平均点の金太郎飴のような平凡な女だ、と自分では思っている。

それに比べて祥悟くんは、大手とは言えないけど、会社の社長さんの一人息子で。

次期社長である事は決定で、今も29歳という若さで部長職だ。
本人はまだまだその器じゃないと謙虚だけど。
ルックスもいいし、背も高い。
センスもよくていつもお洒落な格好をしているし、フェミニストで優しい。
こんなに全てを兼ね備えていていいのか、と思う程のハイレベルだ。
ちょっと子供っぽくて言い出したら聞かないところがあるけど。
それも御曹司ゆえの可愛げだろう。
あと歯の浮くような台詞を平気で吐く。これも天然だ。こればっかりはようやく慣れてはきたけど、今でも背中がむず痒くなる。