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Birthday’s
第3章 番外編ー由美子と誠ー
「奥様?どうかなさったんですか?」

恭子がクッキーを焼く準備をしていると、眉間に皺を寄せた由美子が降りてきた。

「スタンプラリーみたいよ。全くどれだけヒマなのかしらあの人!」

持っていたカードをポイと放り投げ、由美子はダイニングテーブルに座った。

洗濯機が止まった音楽が聞こえる。

「清水さん!私洗濯物干してくるわ!」

「奥様?私が行きますよ?」

「ちょっとイライラするから風にあたりたいの!」

由美子は洗濯が好きだ。

大変な部分は洗濯機がやってくれる。干して取り込むだけで衣類が綺麗になって充実感が得られる。
ちなみにアイロン掛けは苦手なので、それは清水さんにお願いしている。

洗濯物を叩いて干していると気持ちが落ち着く。
誠が自分を喜ばせる為に色々考えてくれているのは解る。そういう小細工が好きな人だ。
だいたいプロポーズからしてそうだった。
どうやって思いついたのか、どんな顔して考えたのか、と思ったものだ。
30年前。
由美子は大阪の北新地にある高級クラブでホステスをしていた。
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