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Birthday’s
第3章 番外編ー由美子と誠ー

2のクッキーの中には、グラシン紙に包まれた、大きなダイヤが嵌ったエンゲージリング。
3のクッキーには、手書のメッセージ。
『一之瀬由美子様
貴女の荷物を僕にも持たせて貰えませんか?
武井誠』
と書かれていた。
誠には、源氏名の蘭という名しか教えていなかったのに。
彼は自分の本名を知っていた。
そして荷物というのは恐らく、母と弟、二人の扶養家族。
どう調べたのか、誠は全て知っていた。全てを知って、それを背負わせろと言う。
1人で背負い込むな、自分に頼れとただ一言。由美子は誰かがそう言ってくれるのを、待っていたのかもしれない。
高校を卒業してから6年、泣く暇もなく遮二無二頑張ってきた由美子は、その日初めて泣いた。
父の葬儀の時ですら、涙一つ出なかったのに。
あの時は、これからどうやって生きていこうか必死だったからなのだが。
3のクッキーには、手書のメッセージ。
『一之瀬由美子様
貴女の荷物を僕にも持たせて貰えませんか?
武井誠』
と書かれていた。
誠には、源氏名の蘭という名しか教えていなかったのに。
彼は自分の本名を知っていた。
そして荷物というのは恐らく、母と弟、二人の扶養家族。
どう調べたのか、誠は全て知っていた。全てを知って、それを背負わせろと言う。
1人で背負い込むな、自分に頼れとただ一言。由美子は誰かがそう言ってくれるのを、待っていたのかもしれない。
高校を卒業してから6年、泣く暇もなく遮二無二頑張ってきた由美子は、その日初めて泣いた。
父の葬儀の時ですら、涙一つ出なかったのに。
あの時は、これからどうやって生きていこうか必死だったからなのだが。

