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穴を掘っている
第6章 終焉



『母さん

貴方がこの手紙を読んでいると言う事は……
僕はちゃんと貴方の前から消えれたんだね
僕は……母さんしか愛せなかった
僕の世界には母さんしかいなかった
僕は母さんがいれば……
生きられたんだ
だけど……それは貴方が望む息子ではないよね?
だから……そんな悪い息子は埋めるしかないと想った
僕は僕を埋める穴を掘った
母さん
僕の穴の上に土をかけて埋めてください
僕は生きていちゃダメなんです
生きていても貴方の望む息子にはなれません
これが愛なのか
執着なのか
狂気なのか……
僕には……解りません
でもね母さん
僕は貴方の子だと……
貴方と交わった体液で感じました……

母さん

僕はどうして……

こんな風にしか産まれて来なかったんだろ?

母さん

父さんにごめんねって伝えてください

では母さん
永遠に僕を忘れて生きて下さい

僕を忘れて……歌うと良い  悠真 』


茉莉亜はその手紙を見て泣いた

こんなに追い詰めたのは自分なのだ

……親のエゴで父親を奪った

悠真の世界から父親を奪ったのは自分なのだ……

今更……遅すぎたのだ

思春期を過ぎて父親を与えたとしても……

総てが遅かった

茉莉亜は悠真の部屋を出て逝くと、携帯を探した

そして携帯を手にすると悠真の父親に電話を入れた

「……すみません……そちらに悠真……行ってますか?」

電話に出た父親は『悠真?悠真がどうしたんだ?』と叫んでいた

「家に……いません
遺書みたいな手紙が置いてありました」

『今から迎えに行くから……マンションの下で待っててくれ……』

父親はそう言い電話を切った

茉莉亜は支度をした

悠真の母さんだから

誰よりも綺麗にありたくて……化粧をした

化粧をして白いワンピースを着た

このワンピースは悠真を生んで退院する日

着た服だった




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